西日本〜沖縄から元野犬・元野良犬・元屋外飼育のわんちゃんを譲り受けた飼い主さん達に、お願いがあります。
バベシア症の再検査をしてください。
犬を引き取った際に、バベシア症は「陰性」「陽性」どちらかの告知を受けているからうちは大丈夫、と思われる方も多いかと思いますが、
それでは今一度、バベシア症の「遺伝子(PCR)」を検査したのか、「抗体」を検査したのか、ご確認ください。
そして、当時の検査の種類が分からない、もしくは片方しか検査していないのであれば、足りない検査を今、受けてください。
バベシア症は、バベシア原虫が血液に寄生する病気で、長らく西日本〜沖縄中心の感染症とされてきました。
西日本にお住まいの方で、愛犬が罹患して辛い思いをされた方もいらっしゃると思います。
激しい貧血等の症状を引き起こし、放置すると起き上がる事も出来なくなり死に至ります。治療が効いて寛解しても、生涯再発の不安と共に過ごす事になる、怖い病気です。
ワクチンや特効薬は、今のところありません。
この、生涯再発に悩むという部分ですが、
感染した犬は、一生この病気のキャリアー(運び屋)となる事が、昔から言われています。
最近、譲り受けた当初は「バベシアは陰性です」と引き継ぎを受けていた犬で、健康に問題なく過ごしていたにも関わらず、
飼い主さんがかかりつけ医に改めて検査を希望したところ、遺伝子(PCR)検査:陰性、抗体検査:陽性となる子が出てきています。
本来、本当にバベシア感染歴がないならば、どちらも陰性の結果が出るはずです。
この理由の詳細は長くなりますのでまたの機会にしますが、少なくともこの子の場合、過去に感染した可能性が否定できないとの診断を受けました。
つまり今後、再発の危険性がある。そしてキャリアーとして、バベシア症の感染源になる危険性がある。という事になってしまいました。
西日本から引き取った子の、バベシアの遺伝子検査と抗体検査をする事は、
あなたの地域の他の犬達を守る事に繋がります。
そして、もし陽性が出てしまったら、残念ですが、その子とそのご家族に託された運命だったという事で、
その子が感染源にならないよう、細心の注意を払って生涯を共にしてください。
具体的には、陽性のワンちゃんは生涯、1年中マダニ予防の薬を使うことになります。
バベシア陽性・キャリアーの犬を吸血したマダニが、また他の犬へ吸血することで、どんどん拡がっていく病気です。キャリアーと知らずに予防を怠ると、地域中のマダニを汚染するおそれがあります。
また、遠くへのお出かけや、他犬が沢山集まる所などには行けなくなります。血液感染の事例として、咬傷があるからです。
うちの子は陽性だけど他犬を咬まないから大丈夫、ではありません。陽性犬が被害者となり咬まれても、咬んだ側の犬を感染させる可能性はゼロではありません。
輸血の供血犬となるなど、もってのほかです。
再検査結果が陽性だったら、飼い主さんはショックだと思います。
陰性だと聞いていたのに、実はバベシア感染歴のあるキャリアーだった。
10年、15年、20年かけて心を通わせようと思っていた、怖がりでなかなか慣れないこの子が、シニアになったり病気になったりするのを切欠に、再発するかもしれない。
それもフィラリア等と違って、治療によりPCR陰性になった=完治ではなく、あくまで寛解であり、根治はほぼ不可能。
再発と治療を繰り返せばバベシア原虫が治療薬に抵抗を持って強くなっていくと言われていますし、少なからずその犬自身の内臓も痛めます。
また、極端にビビリな子の治療を受け入れる獣医先生も大変ですし、病院内の感染予防にも非常に気を遣わせてしまいます。
それでも、再検査してくださる飼い主さんは、犬に本物の愛情がある、本当に優しい飼い主さんです。
胸を張ってください。
正しい病気の知識や検査の意義を理解せず、感染症のキャリアー犬が広く譲渡されている。
動物愛護の名の下で、全体の動物福祉が蔑ろにされてしまった事例だと感じます。
東日本では発生の少なかった感染症が、一気に蔓延したとしたら?愛犬を散歩やドッグランに連れ出すのも怖いですよね。多くの犬が、気軽に外出できなくなってしまいます。
感染を食い止める為には、自身の犬がどこからきたのか、本当に感染は無いのか?
検査をし、予防に努める事で、他の飼い主さんのワンちゃんや、10年後20年後に将来あなたが迎え入れるかもしれない未来の犬達を守る事に繋がるのです。
そして、これから保護犬を引き取ろうと検討している方は、犬の出身地(保護団体の拠点ではなく、その犬が元住んでいた場所)の確認をしてください。
バベシアが蔓延している地域から来た元外飼い犬や元野犬の場合は、PCR検査だけではなく、抗体検査の結果も必ず確認してからの引き取りを検討される事をおすすめ致します。
どうか皆さん、今後も飼い主さん達や関東圏(神奈川県)の犬達を守る譲渡活動を推進して下さい。
私達の行動ひとつで、未来の犬達や飼い主さんが守られます。




